【地元で手売りを始めて感じたこと】
そろそろうちのトマトのシーズンも終盤。
うちは大手スーパーへの出荷が主なんだけれど、繊細なトマトのため規格外品は避けられないので、その販路はとても大切な重要項目。
今年は、地元の手売りに力をいれてやってきた。
母が地元で服屋をしているので、そのお客様にお声掛けさせていただくところから始め、来る日も来る日も車にトマトを載せて地域を回った。
おかげさまで、初月は昨年度の規格外品売上の2.8倍に!
多い時では週に30軒弱、少ないときでも10軒以上のお客様の元を回らせてもらった。おかげさまで、昨年は余ってジュースに回していた分も売り切れた。
以前、農家の先輩に教わったことは、「農家と八百屋は違う職業。作ることと売ることは全く別。どちらも気合をいれて臨むように。」その指摘はとても的確だった。
うちの設楽町のおもしろいところは、地域によって全然雰囲気が違うところ。
私たちが今住んでいる名倉地域は、the農村という感じだし、生まれ育った田口地区は宿場町だった歴史があって、個人商店が多い。他にも役所関係の場所に行くと空気感がまるで違って、それを肌感覚で感じられたことは、とても勉強になった。
農園周りには農業の大先輩がいて、少し町に出ると、商いの大先輩がいるこの環境での手売りは、ときに厳しいけれど、とても刺激的で興味深い体験だった。
何気なく通り過ぎている町の人々が、こんなにも真心込めて、ちょうど良い力加減で商いに関わっていることを、眼の前で感じられたことは、わたしの人生においてもとても重要な学びだったように思う。
お客様はとてもあたたかく迎えてくれて、紹介をくれる方もあったし、あらゆる方法でいつも助けてくださった。地域の商いの先輩方も取引をしてくださったり、アドバイスをくれたり、静かな態度でペーペーな私を育ててくださった。母は数十年培ってきた小商いの細かい気遣いとスキルを惜しげなく教えてくれた。
ああ、ほんとにいい町で育ったんだなあって、今年ほど強く思った年はない。こういう町のいろんな温かさが、穏やかに伝わっていくといいなあと思った。
いつも力を貸してくれるみなさん、本当にありがとうございます。
来シーズンもどうぞよろしくお願いいたします。